日本・スイス各中銀、通貨高で緊急対応
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3日、スイスフラン高を阻止する目的で、政策金利である3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の誘導目標を「可能な限りゼロ近く」に設定して、従来の0.25%から引き下げるとともに、短期市場でスイスフランの供給を増やすと表明した。また、流動性供給に備え、市中銀行の要求払い預金を300億フランから800億フランに増やし、発行済み証券を買い戻すことも明らかにした。ヒルデブランドSNB総裁は声明で「EUや米国の問題がスイスフランを高く押し上げた」、「中央銀行は必要であれば再び行動を起こす」と発言しており、スイスフラン高への警戒を強めている。
欧米の債務危機のなか、資金の避難通貨としてのスイスフランに買いが集まり、上昇を続けていたことが背景にある。通貨高によるスイスの輸出や経済成長に悪影響が及んでおり、米国や日本に続いてゼロ金利政策に踏み切った。この結果、一時的にスイスフランは各通貨に対し急落したが、スイス当局の対応も虚しく、株式相場の下落などで質への逃避の動きが活発となりスイスフラン高は続いている。
4日には日本でも政府と日銀が、外国為替市場で4カ月半ぶりの円売り・ドル買い介入に踏み切った。一時1ドル=76円29銭と東日本大震災後に付けた戦後最安値に迫る勢いを見せたことで、本邦の輸出企業への悪影響を避ける目的があった。野田佳彦財務相は財務省内で緊急会見を開き、「最近の為替市場は一方的に偏った円高の動きが続いていた。投機的、無秩序な動きに対しては断固たる措置を取らなければならない」と言明している。
また、日銀でも4〜5日の2日間にわたる金融政策決定会合を予定していたが1日に短縮した。政策金利は0−0.1%に維持し、追加の金融緩和を決定した。内訳は国債や社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)など金融資産買い入れ額をこれまでの「10兆円」から「15兆円」に拡大し、固定金利方式の共通担保オペレーションでも「30兆円」から「35兆円」に拡大するなど合計10兆円の追加緩和を決定したと発表した。
最近の円高進行の背景には、米債務上限の引き上げ問題が落ち着いたものの、欧米のソブリンリスクや世界的な景気後退懸念、米国の緩和政策(QE3)が、ドル売り・円買いを進めていることから、日本の金融当局の金融政策で、円高を阻止できるか疑問が残る。また、今回の介入について、トリシェECB総裁が介入に否定的な発言をし、米当局者からも「米国は日本の市場介入を支持しなかった」と一部で報じられるなど水を差す発言があり、介入の効果が薄れている。
今後しばらくは、円やスイスフランの上昇は継続すると考えている。